アニメ『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』を観た正直な感想考察

世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎に娘がいたことはご存知ですか?

画号は葛飾応為(おうい)、本名はお栄(おえい)。

彼女もまた、類稀なる絵の才能を引き継いだ絵師でした。

そんな彼女の人生を描いたアニメを見たので、色々と感想を書き連ねていこうと思います。

もくじ

ストーリー

江戸の下町の長屋に暮らす絵師の葛飾北斎とその娘、お栄(おえい)、居候の善次郎。

3人は書き損じが散らかった部屋を気にも留めず、日夜創作活動に励んでいた。

そんな彼らのもとに鉄蔵のライバル歌川門下で若年ながら頭角を現す国直も出入りするようになる。

「親父と娘。筆二本、箸四本あればどう転んでも食っていける」と豪語するお栄ではあったが、なにかと気持ちが揺れ動く難しい時期を迎えていた。

公私ともに充実のときを迎える鉄蔵も盲目で病弱の末娘に悩み、若き日の縁者の死に遭遇。

婿とも衝突するなど円満とは言いがたい。

駆け出し絵師として徐々に頭角を現す善治郎も才気溢れるお栄や、年下ながら売れっ子絵師の国直に引け目を感じている。

国直も歌川一門の人間関係に窮屈さを感じ、自由闊達な鉄蔵門下に憧れを抱くも義理と人情の板挟みに遭っていた。

4人が遭遇する事件を軸に生き生きとした江戸庶民の生活が描かれる。

ちなみに、公式サイトのあらすじは以下のとおり

百日紅(さるすべり)の花が咲く――お栄と北斎、仲間達のにぎやかな日々がはじまる。

女浮世絵師・お栄は、父であり師匠でもある北斎とともに絵を描いて暮らしている。

雑然とした家に集う善次郎や国直と騒いだり、離れて暮らす妹・お猶と出かけたりしながら江戸の四季を謳歌している。

恋に不器用なお栄は、絵に色気がないと言われ落ちこむが、絵を描くことはあきらめない。

そして百日紅が咲く季節が再びやってくる、嵐の予感とともに……。

江戸の四季を通して自由闊達に生きる人々を描く、<爽快>浮世エンターテインメント! (公式サイトより)

2.映画をみた感想

まずは率直な感想から…

・キャスト・スタッフが豪華

・日常系の作品が好きな人にオススメしたい

・盲目の妹 おなお のシーンが泣ける

・江戸時代の女性とは思えないほど男勝りの性格が新鮮。

この後はネタバレを含みますので、よろしければ作品を鑑賞した後にもう一度戻ってきていただければ嬉しいです!

キャスト・スタッフが豪華

まずはどんな人たちがこの作品を作ったかを先に紹介します。

正直、めちゃくちゃ豪華ですよ。

この布陣を見ただけでも、一度は作品を見たいと思えるほどです。

監督は原 恵一さん

原恵一さんの代表作品といえば、『クレヨンしんちゃん』映画シリーズで人気TOP3に入る『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』『アッパレ!戦国大合戦』です。

あの超名作を生み出した監督の作品だと思うと、見る前から期待値が爆上がりですね!

制作会社はProduction I.G

こちらもアニメ好きの方なら誰しもが知るアニメ制作会社です。

看板作品は、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』

最近だと『ハイキュー!!』シリーズや、『怪獣8号』など、とにかく作画がカッコいい作品ばかりを制作しています。

声優さんもとても文句なし。

主人公:お栄役は大人気女優の杏さん。

葛飾北斎役は、「孤独のグルメ」で有名な重松豊さん。

その他に、濱田岳さんや高良健吾さん、麻生久美子さん、立川談春さん…

人気声優の入野自由さんや藤原啓治さん(クレヨンしんちゃんの初代ひろし役)も名を連ねています。

さらに主題歌は椎名林檎さんが担当!

椎名林檎さんにとっては、初のアニメ主題歌担当だったそうです。。

アルバム『逆輸入~航空局~』の最後の曲「最果てが見たい」という楽曲が主題歌として流れます。

ちなみに原作は漫画です。

作者は杉浦日向子さん。

『漫画サンデー』(実業之日本社)にて、1983年から1987年まで連載されました。

杉浦さんは肩書きが漫画家だけでなく、江戸風俗研究家、エッセイストなど幅の広い才能をお持ちの作家さんです。

時代考証が確かで江戸や明治の生活風俗を生き生きと描いた作品を作られているので、今回のアニメもバックグラウンドに説得力を感じますね。

日常系の作品が好きな人にオススメしたい

ここからは作品鑑賞を終えて思ったことを書いていこうと思います。

のんびり落ち着いて見れる日常系が好きな方にぜひオススメしたい作品でした。

江戸時代が舞台ですが、音楽は現代的なバンド音楽っぽい曲が使われていて、うまくマッチしつつ新鮮味があります。

江戸時代の話なので妖怪や生死に関わるような内容も含まれていますが、グロテスクな描写等はないため、穏やかな気持ちで鑑賞できます。

しかしドラマティックで激しい演出はないので、そういった作品が好みの方にはやや退屈に感じるかもしれません…。

盲目の妹 おなお のシーンが泣ける

後半では盲目の妹:おなおがクローズアップされる展開になっていきます。

個人的にはこの展開が一番惹きつけられました。

おなおは、生まれながらに目が見えない小学生くらいのお栄の妹です。

おなおは目が見えないことで、誰の役にも立つことができないどころか、助けがないと生きていくことができません。

他者に迷惑をかけてしまう事をいつも気にして「私は死んだら地獄に行くよ」と淡々と語ります。

この描写に、江戸時代の人々の死生観が生々しく伝わってくるような気がして目が離せませんでした。

また、おなおが亡くなった時に、父:北斎が「あいつの目も命も全てを俺が取っちまったのかもしれないな」と言いました。

平均寿命が40歳の時代に90歳まで大往生した北斎。視力も衰えることがなく、老眼鏡すらかけたことがなかったそうです。

そんな北斎とは対照的に、目が見えずに10歳前後で亡くなってしまった おなお の人生を想像して漏れ出た北斎の言葉には、なんとも言えない哀愁の余韻が残る場面でした。

全体的に日常が淡々と描かれる作風ですが、その淡々さがかえって「死」という儚さを倍増させる演出になっていた気がします。

男勝りなカッコいい性格が新鮮

史実にも残るお栄のキャラクターは江戸時代の女性とは思えないほどパンチが効いています。

大の男がたじろぐほどの度胸の持ち主・お栄。

その竹を割ったような性格と、杏さんの安定感のある媚びない声がベストマッチしていました。

型にはまらない女性だからこそ見ていてとてもかっこいいですが、自分が大人の女性であるにも関わらず、大人の色気ある女性を描けずに葛藤するシーンも、物語としてとてもいいなと思いました。

お栄に関しては、史実でもそもそもあまり情報が残っていないのですが、その貴重な情報を活かして脚本がよく作られていると感じました。

ちなみに今回の作品で描かれている北斎は、「父親」という立場が強いのか、多く語らずとも頼りがいのある雰囲気が出ていて、他の作品で見られる北斎とはまた違った北斎を楽しめました(笑)

3. まとめ

天才絵師・葛飾北斎を父に持ち、その影に隠れてあまり存在が世に知られていませんが、お栄のキャラクターはとても存在感があり、愛される要素に溢れた素敵な女性だと感じました。

そんな彼女にスポットライトを当てて描かれたこの作品は、北斎の豪快な人生を描いた他の作品とは真逆で、穏やかな気持ちで見ることのできる作品です。

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